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【レビュー】実写『鋼の錬金術師(ハガレン)』は実写化する必要があったのか?【ネタバレあり】

0巻を人質に取られた。原作ファンを無視している。

2017年12月1日、1年の締めくくりの最初の日に実写『鋼の錬金術師』が公開されました。

2017年11月15日の特別試写会(ジャパンプレミア)では先行上映され、そのあまりの酷さに一部ハガレンファンは深い悲しみに包まれる結果となりました。

現時点の20~30代にとって特別なマンガであろう『鋼の錬金術師』ことハガレン。単行本は全27巻と長編ながらも、独特なダークファンタジーをクオリティ高くまとめあげられている名作です。

何度も読み返したというほど熱狂的ではないものの、僕もファンの1人。

「何故これを今更実写化したのか?」という疑問の気持ちが湧き上がりました。

『鋼の錬金術師』は実写化する価値があったのか。

それを語るにはまず実写化された『鋼の錬金術師』を知る必要があります。

とはいえ、不安しか無い映画に行くのはなかなか勇気が必要ですよね。時間とお金も使う以上、先に内容を知りたいというのは当然です。

今回は映画のあらすじと共に実写版『鋼の錬金術師』を紐解いていきます。

映画未視聴の方は僕という1人のファンの評価として参考に、映画を視聴された方は復習としてご覧ください。

また、以降の内容はネタバレを含みますのでご注意ください。

※キャストや演技に関しては別途記事にしたいと思います。

【映画特典の『鋼の錬金術師 0巻』について知りたい方はこちら】

目次

実写『鋼の錬金術師』あらすじ

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出典:映画『鋼の錬金術師』トレーラー

錬金術師として天才的な才能を持つエルリック兄弟の兄エドワード(エド)と弟アルフォンス(アル)。

幼き兄弟は亡くなった母に合うために錬金術の禁忌である「人体錬成」に挑みますが失敗。さらには「人体錬成」の代償としてエドは左足、アルは全身を失います。

エドはとっさの判断で右腕を代償にアルの魂を錬成し、鎧に定着させることに成功。その後エドは失った身体を鋼の義肢(オートメイル)に付け替え、国家錬金術師「鋼の錬金術師」となります。

史上最年少、天才錬金術師と称される「鋼の錬金術師」は弟アルと共に、身体を取り戻すため伝説の「賢者の石」を求めて旅に出ます。

実写『鋼の錬金術師』感想

27巻をまとめたことで物語が平坦になった

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出典:映画『鋼の錬金術師』トレーラー

やはりいちばん気になるポイントは物語の落とし所。

『鋼の錬金術師』は27巻通して1本の物語になっているため、実は丁度いい区切りというのはありません。細かいエピソード単位はあるけれども、途中で切ると結局何も解決しないまま終わることに。

実写版では落とし所をホムンクルスの『ラスト』との決着としました。

落とし所としては無難なところでしょう。しかし『鋼の錬金術師』という物語全体で見るとどうしても盛り上がりに欠けます。

ラストとの戦闘は本来ならばあくまで通過点。物語の進む先に敵が居るから戦ったと言えるシーンです。そんな中途半端なシーンを最後に持ってきたことで、2時間という限られた枠の中で物語を全て描ききるのは無理があることを感じさせられました。

じゃあどこを落とし所にしたらいいの?と思われるかもしれません。

ですが、どこにも落とし所は無いのです。これが『鋼の錬金術師』が実写化することに対する原作ファンの不満の1つなのではないでしょうか。

よく「実写化したらストーリーがめちゃくちゃになる」と言われますが、最近の実写化は比較的原作に忠実に作ることを意識され、問題を感じていません。

ただ、それは3~4巻で完結するエピソードを全て書ききっているからではないでしょうか。

『鋼の錬金術師』は27巻揃って、初めて1つの物語になると確信しています。

最近実写化されている作品とは作風が異なるということを理解しないまま、重要そうなシーンを切り貼りしただけになり、ロイがヒューズのために仇であるラストを倒すというありきたりな復讐物語になってしまっていました。

しかも仇討ちで終わったため、主人公であるエドとアルについてはやや空気気味。

ちなみにエドとアルにとってのラスボスはタッカーというまた微妙な最後。ほぼ小悪党じゃないですか。兄弟喧嘩で書きたいことは書ききったと思ってそう。

タッカー周りは原作ハガレンには無いオリジナルストーリーを採用していたり、収集がつかなくなっていたのも微妙でした。

ハガレンの特徴である壮大な物語があまりにも平凡になる、そのギャップに耐えられない人も多いことでしょう。少なくとも僕は少しだけショックでした。

監督が実写『鋼の錬金術師』でやりたかったこと

では曽利監督が『鋼の錬金術師』でやりたかったこととは何でしょう。

一番はCGによる『鋼の錬金術師』らしい演出ではないでしょうか。

実写『鋼の錬金術師』の良いところを語るとなると、どうしても映像方面に目が行きます。特にコーネロとの戦いで初めて槍を錬成したシーンは圧巻です。

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出典:映画『鋼の錬金術師』トレーラー

エド(山田涼介)の手元でスムーズに槍が構成されていくシーンは漫画だと感じにくいリアリティを演出できていました。

また、もう一人の主人公である弟アルのCGも『鋼の錬金術師 0巻』の中でも語られていましたが、相当こだわっていたよう。

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出典:映画『鋼の錬金術師』トレーラー

普段からハリウッドとかご覧になられている方だと「まだまだ」と感じられるのかもしれません。あまり洋画を見ない僕のようなライト映画ファンからすると鎧の質感にハッと息を飲むほどです。

一方、高度なCGでも役者の動きが絡むと途端にチープになります。

例えばハガレンの代名詞である幼い兄弟による人体錬成のシーン

空を飛ぶ板に乗る兄弟がシュール過ぎて微妙でした。板の上で動かず座っているだけというのが違和感の原因かもしれません。

まるでハリー・ポッターを意識したような嵐ビューンな演出もやや過剰気味で世界観がちょっとおかしくなっていたような気がします。

他にもアクションとCGの組み合わせは違和感がすごいです。

実写版ハガレンはアクションを先撮りして後付でCGを足しています。※0巻参照

山田涼介くんの実写ハガレンに対するコメントを見ても、合成されるCGのイメージのすり合わせが監督と上手くできていないように見えました。

結果、実際のアクションではリアリティのないアクションが多いように思えます。

特に最初の壁や地面から石が飛び出てくるシーン。

手をクロスさせて飛んでくる石を防ぎましたが、本当にイメージできているならあんなに真正面から受けないはず。どうもCGと役者さんが噛み合ってないような気がします。

『鋼の錬金術師 0巻』の対談を読んでいても「監督は技術畑の人なのかな?」と思うくらいCGについては熱く語っていました。経歴を見てみると、やはりCGやVFX周りを中心に活動されていたよう。

「もう書ききった」と言わんばかりの物語の投げ捨て方からもキャラクター性や物語は二の次。原作ファンとしては少し複雑な心境です。

『鋼の錬金術師』は実写化する必要はなかったのか?

最初にお伝えしますが、僕はどちらかというと実写化肯定派です。

漫画やアニメでは伝えきれないリアリティを生み出せる実写化は、作品から新しい刺激を得ることができます。

そのうえで、成功か失敗かはさておき『鋼の錬金術師』は実写化する必要があったのかと問われると無かったとお答えすることになるでしょう。

一番のネックは2時間という限られた時間では表現しきれない物語や世界観です。更には予算という問題まで積み上げられ非常に中途半端。

特別試写会後にある一枚のシーンが話題になりました。

ロイとヒューズが会話しながら歩いているシーンに「日本のコスプレ会かと思った」と言った意見が多く出てきました。どう見ても日本ですもんね。

制作側の都合もあって、イタリアでロケをやりきることができなかったのでしょう。しかし、こういった表現の限界が目につきます。

特に『鋼の錬金術師』は舞台が日本ベースでないという実写化としては珍しい作品です。なおさら細かい部分に目がいってしまいます。

このように『鋼の錬金術師』は他の漫画作品と比べても実写化できない作品であることから、実写化する必要はなかったと感じました。

なぜ『鋼の錬金術師』を実写化しようとしたのか

ではなぜ曽利監督は『鋼の錬金術師』を実写化したのでしょうか。

僕は曽利監督による『鋼の錬金術師』2次創作だと感じました。

「鋼の錬金術師が好きだからやってみたい」

「現代のCGを使って鋼の錬金術師をやってみたい」

「一風変わった作風をやってみたい」

曽利監督は『鋼の錬金術師』のファンだということが『鋼の錬金術師 0巻』からもわかります。そこから生まれた曽利監督の「やってみたい」という希望から実写版『鋼の錬金術師』が生まれたのではないでしょうか。

曽利監督といえば試写会で「映画を見て気に入らない人は黙っていてください」という旨の発言をされたということで話題になりました。

「実写版『鋼の錬金術師』は自分が膨らませた作品だから貶されたくない」という個人的な気持ちの現れではないかと。作品への愛着が悪い方向に向かっているような気がします。

世に出す作品への評価は責任をもって受け止めるべきでありたいですね。

実写『鋼の錬金術師』SNSでの評価・感想

最後にTwitter上でもいくつか感想がありましたのでお伝えします。

実写『鋼の錬金術師』まとめ

まとめ

・物語が平坦ではっきり言って虚無

・CG(VFX)はクオリティが高い

・やっぱり実写化しなくても特に問題なかった

散々言い過ぎた気もしますが、なんだかんだで2時間飽きずに見終えました。ただ、端的に言ってつまらない。役者も物語も動きがない平坦な作品でした。

この感覚どこかで感じたことがあるなと思ったら『異世界スマホ』の虚無感と同じことに気づいて1人で笑ってしまいました。

最後まで見れるけど見れるだけ、それが実写版『鋼の錬金術師』でした。

続編はもう無くても大丈夫です。原作でも読み返すことにします。

『鋼の錬金術師』の原作を読み返すなら

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本棚を圧迫することなくいつでも読めますよ。

【その他実写化作品の感想記事も併せてどうぞ】

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • ラストとヒューズは良かったと思いますよ
    大泉洋はコントかなんかかな?

  • >名無しさん
    わかります!
    俳優さんの評価を書くならそのあたりは良かったと書くことになると思います。
    大泉洋さんは完全にそのままでしたが、タッカーのおじさん感と合っていたようにも思います。

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